「花ざかりの森・憂国」を読んでみた

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三島由紀夫氏の短編集を読んでみました。自選した短編集ということで興味をそそり拝読しました。
本書は13の短編集からなっています。それぞれ味のあるいい話もあれば、理解に苦しむ難しい話もありました。

特に私が面白いと感じた短編集は下記の5つです。

遠乗会

新聞紙
橋づくし
憂国

遠乗会
息子が好いている子のために自転車を盗んだ。その息子が好いている子を一目見ようと母は乗馬倶楽部の遠乗会に参加。
実際に遠乗会に参加すると30年前、自身が求婚を拒んだ将軍も来ていたというお話。懊悩の末、将軍ではなく全く別の方を選び結婚を決意したという過去があった。
母は、思い切って求婚の昔話を将軍に話しかけてみる。しかし、将軍はさっぱり忘れたと笑うのでした。

→この物語の状況の場合、母が将軍に昔の話を持ちかけたことは汚いです。人間の心理的な意味で知りたい気持ちが分かりますが、性悪です。
なぜなら、その決断は自身にとって有利であったからです。男性から見るとそのように見えますが、女性から見るとまた違った意見になりえそうです。


それぞれ個性が違った5人の学生の物語。この5人の学生はいつも卵を食べる時大きな音を立て卵を割り飲んでいた。
そこから始まる卵達の逆襲撃。

→まるで、Yのつく某番組を見ているような感覚でした(笑)

新聞紙
ある夫婦(映画俳優とその妻)のお話。夫婦の赤子を見てもらっている看護婦が急に産気づき出産。そして、生まれた子は新聞紙で包まれる。
それをみた妻は哀れに思い、フランネルに包み直してやる。以後、その妻はどうしても新聞紙に包まれて生まれてきた子供のことが頭から離れずに思い悩む。
あの子は20年経ったらどのような生活をおくるのか?生まれた時に新聞紙に包まれたという事実を知ったらどう思うか。
そんなことを思いつつ妻は千鳥ヶ淵公園を歩く。公園には新聞紙に包まれている男性がいる。男性は妻の手首をつかむ。しかし妻は動揺することなくこう呟く。
「もう20年たったのか」

→最後のセリフ。物凄く憎いです。
この女性は私によく似ています。気になったことがちょっとでもあるとずっとそのことを考えてします。取り越し苦労というものです。
取り越し苦労は笑って飛ばせることがおおく、賢い人は楽天的であるといいますが、中々その性格は買えられないものです。
この新聞に包まれた子に幸あれ。

橋づくし
誰とも口をきかずに、7つの橋を渡り切ると夢が叶うという話。
挑戦する人は4人の女性。
小弓
かな子
満佐子
みな
それぞれ叶いたい思いを胸に橋を7つの橋を渡り切ろうとしますが、一人また一人と脱落。
そして最後に残ったのはみな。みなはどのような願いを思って橋を渡ったのか口を割らず、ただ口に薄ら笑いを浮かべるだけである。

→気になる。。。一体何をみなは願っていたのか。気になりすぎて嫌になります(笑
状況からして、皆を思うような願いはしていないと思います。おそらくは利己的な願いであるでしょう。
やはり男性絡みの願い事かな。。。

憂国
この5つの中で最も好きな話です。
2.26事件を基にしたお話。主人公である武山信二中尉は決起した親友三人を勅命により討たなければならなくなった。
しかし、武山中尉はできない。そこで彼が下した決断が自害。その決心を妻である麗子は受け止め共に絶つことを決意。

→夫婦最後の夜。自害の瞬間。官能と美しさとグロテスクとが素晴らしく融合した作品でした。
もしも私が武山中尉だったら、一体どうしたのだろうかと考えてしまいます。ただ、苦痛を伴う自害はきっとできないと思います。それは、情けないかな恐怖からです。
親友を思い自害を選んだ武山中尉には頭が上がりません。

三島由紀夫氏の小説は本当に「すばらしい。」の一言です。綺麗な日本語、素晴らしい比喩、目を閉じるとそこにそのままその情景が浮かんできます。
総じて人を惹きつける文章でした。物語の続きが気になり一気に読んでしまうあの感覚。そして綺麗に時には謎を含ませるような落ち。

まだ三島由紀夫ワールドに浸ってない方はぜひとも。

参考文献

・花ざかりの森・憂国(三島由紀夫 著)

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