「多数決を疑う」を読んでみた ~多数決編~

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前回の 現代倫理学入門 を読んで気づいた「多数決」の集約方法に関する疑問について説かれていた書籍があったので読んでみました。

多数決は、前回も書いたように「マジョリティ > マイノリティ」の関係性があり、マジョリティの意見が絶対視されマイノリティの意見は淘汰される傾向にあります。一体どのように淘汰されるのか、分かりやすく例を挙げて見ていきましょう。

例として、X,Y,Zという多数決対象の事柄に対し有権者20名が投票(多数決)をするとします。例として、下記のように投票されXが8票取得して勝ったとします。

8人 7人 6人
X  Y  Z

ここでもし、有権者がそれぞれの多数決対象の事柄に対し優先順位を考えていたらどうなるでしょう。ここでは例として下記のように優先順位をつけているとします。

  8人 7人 6人
1位 X  Y  Z
2位 Y  Z  Y
3位 Z  X  X

単純な多数決の結果を見ると確かにX(マジョリティ派)が勝っていますが、その他のYZ(マイノリティ派)を支持している方たちのXの支持率は3位です。8対13票という差が発生しているのにも関わらず、X(ペア敗者)を勝ちとしていいのでしょうか?

このような自体に適用できる素晴らしい集約のルールがあります。ジャン=シャルル・ド・ボルダが考案したボルダルールという方法です。

ボルダ得点は投票者が選好順序に従って候補にランク付けをする一人勝者選挙方式である。ボルダ式得点法では、各々の候補に、有権者が付けたランキングの順位に対応した特定の点数を与えることによって選挙の勝者が決定される。いったんすべての票が集計され、もっとも得点の高い候補が勝者である。
(wikipediaより)

ボルダルールに従い、1位には3点,2位には2点,3位には1点のようにそれぞれ配点を行い集計をします。すると、、、

Xは、(8*3)+(7*1)+(6*1)=37
Yは、(8*2)+(7*3)+(6*2)=49
Zは、(8*1)+(7*2)+(6*3)=40

Xが優先されない総合的なデータの順位付けができました。つまりペア敗者をカバーした集約が出来たということです。
このように集約を平等に結果として出すことが出来そうなボルダルールですが、実は欠点があります、例えば下記のような場合

  4人 3人 3人 3人
1位 X  Z  Y  Y
2位 Y  X  X  Z
3位 Z  Y  Z  X

上記と同じ条件でX,Y,Zの値を求めると、、

Xは、(4*3)+(3*2)+(3*2)+(3*1)=27
Yは、(4*2)+(3*1)+(3*3)+(3*3)=29
Zは、(4*1)+(3*3)+(3*1)+(3*2)=22

となり、Yの勝利です。ですが、ペアで見ていった時、
XはYに7対6で勝ち、XはZに7対6で勝ちます。つまり、ペアで見ていった時にX(ペア勝者)が勝者となる場合があるのです。この問題を指摘をした方がニコラ・ド・コンドルセという数学者です。ボルダルールに対し、コンドルセはペア勝者による集計方法、コンドルセの最尤法を説きました。

ですが、このコンドルセの最尤法には一つ問題があります。
上記の場合ではXはYにもZにも勝つペア勝者ですが、順位付けができずサイクル化する時があります。例えば下記のような場合

  6人 5人 2人
1位 X  Y  Z
2位 Y  Z  X
3位 Z  X  Y

この場合、ペア勝者を見ていくと、

XはYに8対5で勝ち
YはZに11対2で勝ち
ZはXに7対6で勝ち

このような結果になり、サイクル化され順位付けが出来なくなります。ここでコンドルセは、このサイクルを解消する方法として最も投票差の少ない物は「重要性が低い」とし棄却し順位付けを行うべきだと言っています。
例えばこの場合、投票差が最も少ない結果は「ZがXに勝った7対6の票」です。
この票を棄却すればX>Y>Zという順位付けが出来ます。

集約のルールは他にもいくつかありますが、集約ルールによってメリットとデメリットがあります。結論として投票対象が3つの場合は「コンドルセの最尤法」をそれ以外では「ボルダルール」によるスコアリングで選択を行っていくとより理想的な結果が導き出されるとわかりました。

参考文献

・多数決を疑う(坂井豊貴 著)

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